20年、小学校の教師をしてきた私が、ずっと忘れられない場面があります。
ある男の子が、宿題をやってきたのにやっていないと嘘をつきました。
私は「嘘はいけない」と正面から向き合い、なぜ嘘をついたのかを問い詰めました。
その子はうつむいたまま、小さな声で言いました。
「……本当のことを言ったら、怒られると思った」
私は——その言葉を聞いて、動けなくなりました。
嘘をつかせていたのは、私だったかもしれない
その子は、嘘が「得」だと思ってついたのではなかった。
正直に話したら怒られる、という経験が積み重なって、嘘で自分を守るしかなかったのだ。
私はそれまで、子どもの嘘を「道徳の問題」として見ていた。でも違った。
嘘は、SOSだった。
「本当のことを言ったら、この場所は安全じゃない」というサインだった。
子どもが嘘をつく、5つの理由
20年間で見てきた「子どもが嘘をつく」奥にある理由:
- 怒られるのが怖い
- 失望させたくない
- 責められた経験がある
- 本当のことを話せる場所がないと感じている
- 正直に言っても状況が変わらないと思っている
どれも、「悪い子だから」ではない。安心できていないからだ。
「本当のことを話してくれてありがとう」が、最初の一歩
あの日から、私は子どもが正直に話してくれた時の言葉を変えた。
「なんでそんなことしたの?」ではなく——
「本当のことを話してくれてありがとう」
この一言が最初にあると、子どもはもう一度正直に話してくれる。
嘘をつく子を責める前に、「この子が正直に話せる場所を、私は作れているか」を問い直すことが大切だと思っている。
親子でも、同じことが起きている
「怒られないように」「失望させないように」と、子どもは今日も親に合わせた答えを選んでいることがある。
「うちの子、何も話してくれない」と感じる時。
もしかしたら、話せる安心感がまだ育っていないだけかもしれない。
責めてからでは遅い。
「話してくれてありがとう」から始めること。
それが、子どもの本音が戻ってくる入口になる。
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