怒れば子どもは動く。でも私が本当に育てたかったのは——

正直に言う。私は教師として、怒って子どもを動かしていた時期があった。

「早くしなさい」「ちゃんとやりなさい」「何度言ったらわかるの」

怒れば、子どもは動く。その場では。

でもある日、担任していた6年生の男の子が、ぽつりと言った。

「先生に言われなかったら、やらなくていいですか」

私は——返す言葉がなかった。

怒って動かす子育てが生み出すもの

怒ることで動く子どもは、「怒られるから動く子ども」になっていく。

大人が見ていない時は動かない。
指示がなければ考えない。
怒られなければやらなくていい。

私が本当に育てたかったのは、そういう子どもではなかった。

自分で考えて、自分で動ける子ども。
誰かに言われなくても、自分の意志で選べる子ども。

怒って動かすことは、その力を育てない。むしろ、奪っていく。

「信じて待つ」は、放置ではない

「じゃあ怒らなければいいのか」ではない。

信じて待つことは、何もしないことではない。

その子が自分で動き出せる環境を整えること。
小さな一歩を見つけて「気づいたよ」と伝えること。
失敗しても「次があるね」と受け止めること。

怒って動かすより、手間がかかる。すぐに結果が出ない。

でも、その時間の積み重ねの中で、子どもは「自分で動く力」を少しずつ手に入れていく。

待てない親の奥には、不安がある

「信じて待てない」時、その奥には必ず何かがある。

「この子が遅れてしまうんじゃないか」
「このままでは将来困るんじゃないか」
「私の育て方が悪いと思われるんじゃないか」

待てないのは、子どもへの不信ではなく、自分の不安からくることが多い。

その不安の奥を見ると——「本当はこの子に幸せになってほしい」という願いがある。

怒って動かすことは、その願いの表現だ。でも、届き方が違う。

怒って動かす前に、一度だけ立ち止まってみてほしい。

「私は今、何が怖くて急いでいるのか」

その問いに戻れた時、子どもへの関わり方が変わっていく。


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