挑戦できないのは、やる気がないからじゃない。昔の心の傷がうずいているのかもしれない

「なんで、やらないんだろう」

「本当はやりたいって言っていたのに、どうして動かないんだろう」

「もっと自分の可能性を信じればいいのに」

そんなふうに、誰かを見て思ったことはありませんか。

子どもでも、大人でも、夢や希望を語ることはある。

でも、いざ一歩踏み出す場面になると、止まってしまう。
挑戦しようとすると、急に怖くなる。
本当は変わりたいのに、今の場所から動けなくなる。

私は最近、こう思うんです。

挑戦できないのは、やる気がないからではなく、昔の心の傷がうずいているからかもしれない。

挑戦できない人は、怠けているわけではない

挑戦できない人を見ると、私たちはつい表面だけで判断してしまいます。

「覚悟が足りないんじゃない?」
「本気じゃないんじゃない?」
「逃げているだけじゃない?」

でも、本当にそうでしょうか。

もちろん、単純にまだタイミングではないこともあります。準備が足りないこともあります。でも、その奥に、もっと深い理由が隠れていることもあると思うのです。

たとえば、子どもの頃に失敗して強く責められた経験。

頑張ったのに認めてもらえなかった経験。

期待に応えられなかった時に、がっかりされた経験。

自分で選んだことを否定された経験。

「失敗しないようにしなさい」「ちゃんとしなさい」「迷惑をかけないようにしなさい」「あなたならできるでしょ」

そんな言葉や空気の中で育ってきた人は、挑戦の場面で、心の奥が反応してしまうことがあります。

今、目の前にある挑戦そのものが怖いというより、過去に傷ついた記憶が、もう一度痛み出すのです。

「やりたい」のに動けない時、心は自分を守っている

本当はやりたい。本当は変わりたい。本当はもっと自由に生きたい。

そう思っているのに、動けない。

その時、心の奥ではこんな声がしているのかもしれません。

「また失敗したらどうしよう」
「また責められたらどうしよう」
「また誰かをがっかりさせたらどうしよう」
「また自分には無理だと思い知らされたらどうしよう」

だから、挑戦しない。変わらない。今の場所にとどまる。

それは一見、逃げているように見えるかもしれません。

でも、別の見方をすれば、その人はずっと、自分を守ってきたのかもしれません。

傷つかないように。否定されないように。これ以上、自分の心が壊れないように。

だから、挑戦できない自分を、ただ責めるだけでは変われないのだと思います。

本当に必要なのは「なんでやらないの?」ではなく「何が怖いの?」

誰かが挑戦できない時。子どもが一歩踏み出せない時。大人が夢の前で立ち止まっている時。

必要なのは、「なんでやらないの?」と追い込むことではないと思います。

もちろん、時には背中を押す言葉が必要なこともある。でも、その前に大切なのは、

「本当は何が怖いの?」と見つめること。

「やりたくない」の奥には、本当はやりたいけれど、失敗するのが怖い、があるかもしれない。

「変わりたくない」の奥には、変わった先でまた傷つくのが怖い、があるかもしれない。

「今のままでいい」の奥には、今のままでいることしか、自分を守る方法がなかった、があるかもしれない。

人は、安心できないと挑戦できません。

失敗しても大丈夫。うまくいかなくても、自分の価値はなくならない。できない自分も、途中の自分も、受け止めてもらえる。

そんな土台があって初めて、人は一歩を踏み出せるのだと思います。

子どもに必要なのは、失敗しない力ではなく、立て直す力

子どもに挑戦できる子になってほしい。自分から動ける子になってほしい。夢に向かって進める子になってほしい。

そう願う親御さんは多いと思います。

でも、そのために必要なのは、「失敗しないように育てること」ではないと思うのです。

むしろ大切なのは、

失敗しても大丈夫だと思えること。できなかった時に、そこから考え直せること。うまくいかない自分も責めずに、次の一歩を選べること。

テストで失敗した時。習い事でうまくいかなかった時。友達関係でつまずいた時。何かに挑戦して、思うような結果が出なかった時。

そこで大人が、「だから言ったでしょ」「もっとちゃんとやりなさい」「なんでできないの?」と責め続けてしまうと、子どもは挑戦そのものを怖がるようになるかもしれません。

でも、
「悔しかったね」
「本当はどうしたかった?」
「次はどうしたらいいと思う?」
「失敗しても、あなたの価値は変わらないよ」

そうやって受け止めてもらえた子は、少しずつ自分の力を信じられるようになります。

挑戦できる子を育てるには、挑戦させる前に、安心して失敗できる場所をつくることが必要なのだと思います。

大人もまた、昔の傷から自由になっていい

そしてこれは、子どもだけの話ではありません。

大人になった私たちも、昔の傷で動けなくなることがあります。

本当はやってみたいことがある。本当は変えたい現実がある。本当はもっと自分らしく生きたい。

でも、動こうとすると怖くなる。

そんな時、私たちはつい自分を責めます。

「私は意志が弱い」「どうせまた続かない」「私には無理」「もう遅い」

でも、そうじゃないのかもしれません。

その怖さは、昔の自分が傷ついた証かもしれない。そのブレーキは、ずっと自分を守ってきた証かもしれない。

だからまずは、動けない自分を責める前に、こう言ってあげたい。

「怖かったんだね」「守ってきたんだね」「今までよく頑張ってきたね」

その上で、今の自分に問い直してみる。

「本当は、どうしたい?」「本当は、何を選びたい?」「もう一度、自分の可能性を信じるなら、どんな一歩を踏み出したい?」

挑戦できない自分は、ダメな自分ではない

挑戦できない自分は、ダメな自分ではありません。

ずっと自分を守ってきた自分です。

でも、これからもずっと、守るだけで生きなくていい。

少しずつでいい。小さな一歩でいい。誰かと比べなくていい。

今の自分にできる形で、自分の可能性を信じ直していけばいい。

挑戦とは、いきなり大きなことを成し遂げることではなく、本当はどうしたいのかを、自分に聞いてあげることから始まるのだと思います。

そして、そこから小さく選び直すこと。

人は、いつからでも変われる。何歳からでも、自分の人生を選び直せる。

可能性に期限なんてない。

昔の傷があったとしても、失敗した過去があったとしても、誰かに否定された経験があったとしても。

それでも人は、もう一度、自分の可能性を信じ直すことができる。

私は、そんな子どもたちを増やしたい。そして、そんな大人も増やしたい。

自分の本音に気づき、自分の可能性を信じ、自分の人生を少しずつ選び直していける人を増やしたい。

挑戦できない理由の奥には、責めるべき弱さではなく、癒されるべき傷があるのかもしれません。

だからこそ、まずは自分にも、子どもにも、こう伝えてあげたい。

「怖くても大丈夫」「失敗しても大丈夫」「あなたの可能性は、まだ終わっていないよ」


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