「やっぱり嘘だったでしょ」と思われた日――心の奥まで分かる教師になりたかった理由

小学1年生の時のことを、今でもはっきり覚えている。

宿題で、繰り下がりのある計算カードをめくる練習があった。何分でできたか連絡帳に書いて提出するものだった。

まだ算数が苦手で、一人ではわからなくて、お母さんにヒントをもらいながらやった。でもちゃんとやった。

みんなの前に並ばされた

翌日、先生に言われた。

「こんなに早いわけがない。今ここでやりなさい。」

疑われた何人かが、教室の前に並ばされた。クラスメートみんなの視線の中で、立ち膝をさせられて、やり直しをさせられた。

緊張した。怖かった。ズルをしたわけじゃないけど、お母さんに手伝ってもらったのは事実で、それを言い返す言葉も持っていなかった。

プレッシャーの中で、うまくできなかった。

泣いてしまった。

あの涙の意味を、誰も分からなかった

先生には「やっぱり嘘だったでしょ」と映ったと思う。

でもあれは、悔しい涙だった。

ちゃんとやったのに信じてもらえなかった悔しさ。みんなの前で恥をかかされた悲しさ。怖さ。

その涙の奥にある気持ちを、誰も聞いてくれなかった。「サボったんだね」で終わった。

あの日があったから、なりたい教師像ができた

大人になった今でも、あの日のことは忘れていない。

そして気づく。子どもの頃、先生に言われたひとこと、友達に言われたひとこと、そういうことが今でも心の傷として残っているという大人の話を、本当にたくさん聞いてきた。

私は20年間教師をやってきて、どこかで誰かを同じように傷つけてしまったかもしれない。もしそうなら、本当に申し訳なかったと思っている。誠実に謝ってきたつもりだけど、悲しみを飲み込んだままの子もいただろうから。

あの先生のことを、ずっと反面教師にしてきた。

「なぜ泣いているのか、本当のところを分かろうとする教師でいたい。」

それが、私が教壇に立ち続けた理由の一つだった。

教師の方へ、そして子育て中の方へ

日々忙しい中で、つい表面の行動だけを見てしまうことはあると思う。私もそうだった。

でも一度だけ、立ち止まってみてほしい。

「この子は本当はどう思っていたんだろう?」

その問いを持つだけで、関わり方は変わる。子どもは、心の奥まで見ようとしてくれる大人のそばで、少しずつ安心して育っていく。


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